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ラテン文字とキリル文字の対立問題をどう解決するか – タイプデザイナー・インタビュー

  • 2019.06.12

  • ニコラ・ジュレク(Nikola Djurek)さんはグラフィックデザイナーであり、タイプデザイナーであり、研究者であり、教師であり、フォントデザイン事務所「Typotheque」のパートナーです。

     

    活動について

    ーーあなたの作品はクロアチアで大きな影響を与えていますね。

    初めてのプロジェクトは10年前です。ザグレブの空港の仕事でした。タイプフェイスデザインを提案してほしいという依頼でした。

    「空港用にタイプフェイスを作るのがベストです」と答えました。友人であり同僚のダミール・ブラリク(Damir Bralic)が全サインシステムと機能をデザインし、それがザグレブ市内で展開されました。クロアチアで私の名前が知られているのはこのプロジェクトによるものです。他のプロジェクトやフォントではありません。

     

    ーー ということはそれはあなたの活動の全く別の面ですね。そのプロジェクトは地元で反響を呼びましたが、ほかの一連の仕事はクロアチア国外で知られているわけで、国内と国外で完全にあなたのイメージは違っていますね。

    そうです、そうです。

     

    ーー国外のオーディエンスのほとんどは、おそらく空港やザグレブ市内の標識で使われているタイプフェイスは見たことがないと思いますが。

    そうですね。ブランディングに関する本もそうだと思います。

    クロアチア国内での影響の方が国外よりも大きいです。クロアチアの事情にだけ合わせてクロアチアで書いたわけですから。クロアチアの外ではもちろん主にタイプフェイスで知られています。

     

    タイプデザインについて

    ーー活動が多種多様ですね。何かひとつがずっと続いているということがありません。タイプデザイナーの多くはひとつのことに興味を持つと、それを様々な形式で探求しますが、あなたのプロジェクトは本当に多様です。

    このフォントは「Delvard Gradient」です。

    9段階のウェイトをデザインしました。100年前のポスターを見つけたのですが、使われているフォントがアールヌーボー時代のとても細い「thin」と非常に太い「black」でした。

    それをどう解釈し直せば現代で新しく再現できるか考えたんです。さらに、どうすれば何種類かのフォントを選ばなくてもそのデザインできるかも考えました。つまり、レタリングとタイプフェイスの境界線です。

     

    このフォントは「Tremolo」です。

    その「グラデーション」スタイルです。文字の中にグラデーションを入れて、様々な色を使って様々な変移ができるようにしたかったのです。

    グラデーションの見え方も選べます。

     

    これは発表したばかりの最新のプロジェクト「Gordian」です。

    「ゴルディウスの結び目」(Gordian knot)のように中に入ったり外へ出たりしてからまっていて非常にうまくできました。「Gordian Text」など普通のスタイルではタイプフェイスに合う小文字を導入しようとしています。しかし「Gordian Knot」ではアウトラインスタイルだけをデザインしました。石に彫刻した文字のような雰囲気を出す効果もあります。

    最後に、これが一番面白い部分なのですが、スタイルに方向を取り入れました。重なりの方向が北東、北西、南東、南西の4つのスタイルがあります。

     

    「Balkan」プロジェクトについて

    ーー現代のデザイナーは同じツール、同じ法則、同じ技術を使っています。ですから、あまり違いが見られませんが、あなたの作品は実に様々です。なぜだと考えていますか。「Balkan」プロジェクトについて教えてください。

    マリヤ・ユザ(Marija Juza)さんと一緒に数年前「Balkanフォント」をデザインしました。

    当時はクロアチアは政治的に微妙な時期でした。ブコバルに2ヶ国語表記の標識を設置する必要がありましたが、ブコバルは戦争のあった都市です。その都市に、地名などをラテン文字(ローマ字のアルファベット)とキリル文字で表示しなければなりませんでした。しかし、ブコバル市民は全員それに反対しました。なぜならキリル文字を戦争や侵略者と結びつけて考えていたからです。ブコバル市民は2ヶ国語の標識を毎日はぎ取り、破壊しています。それは今も続いています。

     

    何百人ものクロアチア人抗議グループが、セルビア語のキリル文字で書かれた標識を破壊しました。標識は、ユーゴスラビアからの独立戦争で破壊しつくされた都市であるブコバル市内に月曜日に設置されたものです。「クロアチア人以外の民族が3分の1以上を占める地域では、標識の二か国語表記を義務づける」というクロアチアの法律にしたがって設置されました。

    クロアチア語とセルビア語はお互いに通じますが、クロアチア人はラテン文字、セルビア人はキリル文字を使っています。クロアチア人の中にはキリル文字を見ると、セルビア人が支配していたユーゴスラビア軍やセルビア人の民兵を連想する人たちがいます。クロアチアの他の地域では既に2ヶ国語標識が設置されています。アドリア海北部のイストリア半島ではイタリア語とクロアチア語の併記です。セルビア人がかなり大規模なマイノリティーとなっている他の地域では、キリル文字の使用に反対する動きは起きていません。

     

    どうすればコミュニケーションや寛容さなどのために表記を一体化できるか?

    そこで私たちはこのフォントシステムを考え出しました。「Balkan」(バルカン)と呼んでいます。

    クロアチア人もセルビア人もバルカン半島に住んでいるわけですから。このフォントを見るとラテン文字とキリル文字の両方が同時に読めます。多くの公共機関などがこのフォントを使っていますし、多くの文化的プロジェクトが使っています。ですからクロアチアではよく知られています。このフォントで賞をたくさんいただきました。両方の言語で同時に情報を伝えられるからです。

     

    ーーあなたは他の製品、ワインやビールも作っていますよね。ワイン造り、ビール造り、書籍の執筆、翻訳、タイプデザイン、教育などの間に関連はありますか。どういう影響がありますか。

    特にワインにはとても関連があると思います。

    商品になったワインを見るときにはボトルを見て、私のタイプフェイスを見ます。それは私のデザインです。ですから、ワインを見ることは私を見ていることになります。また、ワインを造る工程はとても時間がかかります。タイプフェイス作りも同じです。有名になるのか、いいものができるのか、あまりできはよくないのか、全く予想できません。

    作っているときには確信が持てませんが、1年後あるいは5年後に「おぉ、これはすばらしい」とか「あぁ、何かまずいことをしかたもしれない」とかわかるわけです。まあ、たいていの場合すばらしいものができますけど。

     

    ビールはどちらかと言えば工業製品です。フォントの最終製品のようなものです。ほとんど研究所で作っているかのようにしなければなりません。温度はこうでなければならない、これはこうでなければならない、あれはこうでなければならない。しかしワインはもっと感覚的です。ワインの味をみて、「よし、今年は少しピノブラン種のぶどうを多めにしてフレイバーを少し強めよう」という風に。ビールはレシピどおりに造るものです。

     

    どれももちろん私の一部です。本、タイプデザイン、教えること、あなたと働くこと、ぶどう園。すべてが私です。これらすべてがとても大切です。また、もちろん子供たち含め家族が最優先ですが。これが私の働き方です。

    もし、タイプデザインがなければ本は書いてないでしょう。

    もし、ワインがなければ楽しくなかったでしょう。

    ですからすべてが関連しています。次のワインのラベルは多分私の作ったGordianフォントを使います。

     

    参照リンク : Type Designer Interviews. Part 2: Nikola Djurek – Typotheque (CC BY 3.0)


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