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『美』を追求するコスメブランドのロゴマークたち

  • 2018.10.25

  • コスメブランドのロゴマークたち

    女性の身だしなみに欠かせない化粧品。化粧の起源は古く、元をたどれば古代エジプトの王族にまで遡るそうです。遥か昔から美を求めてきた女性たち。「美しくありたい」その願いは普遍的なものです。そんな女性たちの美しさに磨きをかける化粧品は、その品質はもちろん、興味を引くきっかけともなる、パッケージデザインやブランドを象徴するロゴマークに至るまで、女性たちに好意的に受け入れられるものである必要があります。

    世界の女性たちに認められた化粧品のハイブランドは、どのようなロゴマークを掲げているのでしょうか。


    世界最大の化粧品ブランド「LOREAL」のロゴマーク

    化粧品ブランド「LOREAL」のロゴ

    MoDOG / Shutterstock.com

    100年以上の歴史をもつ老舗化粧品ブランド「LOREAL」。フランス発祥のメーカーですが、今では、世界中に支社を持ちます。LOREALのブランドアイデンンティティとも言えるスローガンは「Diversity & Inclusion(多様性と社会的包摂)」。世界のあらゆるレベルとジェンダーの人へ等しく美を提供するという企業姿勢は、さすが世界最大級のコスメティックブランドです。

    そんなLOREALのブランドロゴは、やや横長のシンプルなサンセリフ体がベース。「O」の文字を他の文字と比べ大きく扱い、アクセントとしています。無駄な装飾がない書体は可読性が高く、大きく目を引く「O」の字はまるで「地球」や「世界」を表わしているかのようにユニバーサルな印象を与えます。「全ての人に美を」その企業姿勢は、ロゴマークにもしっかりと投影されているのではないでしょうか。


    アーティスティックなコスメブランド「MAC」のロゴマーク

    コスメブランド「MAC」のロゴマーク

    Maly Designer / Shutterstock.com

    カナダのトロントでプロのメイクアップアーティストのために誕生したMAC。「Make-up Art Cosmetics」というのが正式名称で、頭文字を取った「MAC」がブランド名になっています。発色が鮮やかなリップグロスやくっきり描けるアイライナーなどが日本でも知られるヒット商品で、その他にも、ベースメイクや、ブラシなどメイクに関わる幅広い商品がラインナップされており、今ではプロだけでなく、世界中の女性たちから人気を集めています。

    MACは、プロ仕様であったためか、今でも先鋭的なアート色の強いブランド。シーズンごとに発表される広告も、日常的なナチュラルメイクというよりは、「くっきり・はっきり」した、ザ・メイクというようなビジュアルをよく目にします。美というのは、すぐそこにある手が届くものから、羨望の眼差しで見る非日常な美しさまで幅が広いもの。女性なら誰しも持つ、変身願望を叶えるような煌びやかな美がMACにはあるような気がします。

    MACのロゴマークは、左右対称な「M」と「A」、上下対称な「C」の文字で構成された幾何学的なデザイン。文字というよりは図形に近いサンセリフ体で書かれ、上下に圧縮したように強い平体がかけられています。よく見ると、「M」の中心部分と「A」の棒線部分には継ぎ目のような装飾が見られ、3文字すべてが連結していることがわかります。加えて、「A」の上に「・」が2つアクセントのように描かれているように見えますが、MACが元々、「Make-up Art Cosmetics」であったことを考えると、3文字を繋ぐ「・」のようにも見えてきます。

    非日常的な美しさをプロデュースするMACらしく、非常に意匠性の高いロゴデザインです。


    愛と思いやりに満ちた自然派コスメブランド「THE BODY SHOP」のロゴマーク

    自然派コスメブランド「THE BODY SHOP」のロゴマーク

    MA PHOTOGRAPY / Shutterstock.com

    1970年代のイギリスで生まれたコスメブランド「THE BODY SHOP」。創業者であるアニータ・ロディックは、女性らしいしなやかで優しい感性を生かし、それまでの化粧品業界の慣例を覆すような斬新なプランを次々と実行していきました。天然原料をベースとした化粧品であることはもちろん、それまでの高価な瓶や包装で売られていた化粧品のパッケージのイメージから離れ、シンプルで扱いやすいボトルや容器を採用し、詰替え用の販売もはじめました。また、企業と社会とのつながりを見直し、公正な取引で地域社会と繋がりを持つフェアトレードや、動物実験への反対、環境保全などにも積極的に取り組んでいます。

    THE BODY SHOPのロゴは、自然由来の成分を使用していることを思わす、オーガニックな装飾が特徴。ハーブなどの植物をモチーフにしたデザインでロゴタイプを囲み、やさしい印象のロゴデザインに仕上げています。

    創業当初のデザインは、葉のような部分が3つあり、円ではなく2対の植物がロゴタイプを挟むようなデザインでした。ロゴタイプも中心ではなく上の方にまとまっており、余白が大きくとられていました。現在のロゴデザインは、より見やすく、よりユニバーサルなデザインが意識されており、ロゴタイプのフォントもセリフ体からサンセリフ体へと変わっています。

    ロゴの変遷は、まるで、企業が変革する社会に柔軟に対応し、時代のニーズに応える姿勢を持つことを物語っているようです。


    仏の香り運ぶオーガニックブランド「L’Occitane」のロゴマーク

    オーガニックブランド「L'Occitane」のロゴマーク

    Birgit Reitz-Hofmann / Shutterstock.com

    日本でもハンドクリームなどで有名なコスメブランド「L’Occitane」。発祥は、南フランスのプロヴァンス地方。地域に根付くライフスタイルを取り入れ、自然原料から作るスキンケアやボディケア、フレグランスやバス製品を中心にしたブランドです。

    ロゴマークは、「LOREAL」と同じように「O」をアクセントにしたロゴタイプで構成されていますが、使用しているセリフフォントの雰囲気やブランドカラーである温かみのある南仏らしいオレンジが、独特の雰囲気と品格を感じさせます。


    愛と平和を象徴するセルフケアブランド「Dove」のロゴマーク

    セルフケアブランド「Dove」のロゴマーク

    monticello / Shutterstock.com

    日本でもお馴染みの「Dove」。シャンプーやボディソープ、洗顔料などスーパーやドラッグストアに行くと必ず目にします。Doveは、1950年代にアメリカで生まれたブランド。はじめに発売されたのは石けんで、それまで、洗浄することだけが目的だった石けんに、はじめて「うるおい」という機能を持たせたといわれています。

    「Dove」が意味するのは「鳩」。すべての人の肌や髪に潤いを与えたいという思いから、愛と平和の象徴である鳩が選ばれたそうです。

    白い背景に紺色の流れるようなロゴタイプが美しく、まるで鳩が空を舞う軌跡のようにも見えます。鳩は、製品やパッケージによって色は変わりますが、金色やロゴタイプと同色の濃紺で表わされることが多いようです。

    デザインから感じるのは、清潔感とプレミアム感。商品を使った時の、豊かな潤いを彷彿とさせるロゴデザインです。


    日本を代表する老舗化粧品メーカー「資生堂」のロゴマーク

    老舗化粧品メーカー「資生堂」のロゴマーク

    JHVEPhoto / Shutterstock.com

    化粧品といえば資生堂と言われるほど、国内で知らない人はいない化粧品メーカー「資生堂」。その発祥は古く、1872年東京の銀座で、当時国内初の洋風調剤薬局店として資生堂は誕生しました。調剤薬局として成功を収めた資生堂は、1900年代に入り、化粧品部を設立し、日本随一の化粧品会社としての道を歩むこととなります。

    シンボルマークとして馴染み深い「花椿」のマークは、この頃、初代代表取締役の手で描かれたもの。以来、100年以上の時を超え、ほとんど形を変えず愛され続けてきました。今では、少しレトロな雰囲気を感じる可憐な花椿のロゴですが、当時はロゴマークに花のイラストを採用するということ自体斬新で、その先進性や美しい意匠に多くの女性から支持を集めたと言われています。

    現在の資生堂のロゴマークは、この花椿をモチーフにしたシンボルマークと、シャープでありながらモダンで女性らしい印象を残す和文ロゴ、波のような「S」のフォルムが印象的な英文ロゴの3種類が採用されています。

    和文ロゴは、やや縦に長い明朝体に近いフォントを採用しています。明朝体にしてはセリフ(うろこ)部分がとても小さく控えめなので、品格を保ちながらも華奢で女性的な印象を与えます。縦にほっそりしているのも、女性が憧れるプロポーションをイメージさせ、まさに女性が求める「美」にぴったりのロゴタイプだといえます。

    「資生堂」の英文ロゴマーク

    Filipe Frazao / Shutterstock.com

    英文ロゴは、文字間のスペースが適度に取られ、アレンジされた「S」の文字が、寄せては返す波のようにゆったりと余裕のある時を感じさせます。

    和文ロゴは、女性が求める凛とした華のある美しさを、英文ロゴは女性が持つ内面的な豊かさと安定を、そして、シンボルマークの花椿は、今も昔も変わらない女性の可憐さが表現されているように思える資生堂の3つのロゴパターン。創業当初から、新たなことに次々挑戦し、女性の可能性を広げてきた資生堂。外見だけではなく、女性の在り方そのものを追求してきた大企業の思いの深さを感じるロゴデザインです。


    まとめ

    コスメブランドのロゴデザインは、共通して「美しさ」や「品格」を重視する傾向があります。加えて、女性らしい「しなやかさ」や「輝き」なども重要な要素です。化粧品は、なりたい自分に近づくためのいわば小さな魔法のようなもの。手にした瞬間からテンションが上がり、手元に置くことにステイタスを感じるものであることが理想です。

    しかし、現代は多様性の社会。「美しさ」はもちろん、何を大切にして生きるかは、一昔前と比べ膨大な選択肢があります。化粧品についても然り、上辺だけの美しさを求めず、女性たちの視線は、製造過程や原料、ブランドのポリシーにまで及びます。今回紹介したコスメブランドも、商品を届けたい消費者に向かって、自分たちのポリシーやこだわりをロゴを使って表現しているように思えます。一つではない「美しさ」。ブランドの思う「美」をターゲットにいかに伝えるかが、コスメブランドロゴの使命なのかもしれません。


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