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ファストファッションのシンプルなロゴデザインたち

  • 2016.12.18

  • ファスト・ファッション(fast fashion)とは、最先端の流行をいち早く取り入れつつ、低価格に抑えた大量生産の、スパンの短いサイクルで販売する衣料品のブランドを意味します。

    ファストファッションについて

    ファスト・ファッションという名称は、安くて早い『ファストフード』になぞらえて作られた造語です。つまり、「低い価格でお手軽におしゃれを楽しめる」、というのがこのファスト・ファッションですね。経済効果が高いことでも話題となっています。世界的不況の下で、このファスト・ファッション業界は、世界規模で大手のグローバル・チェーンがその市場を独占し、売り上げを伸ばしてきました。日本では、デフレ不況や消費者の節約志向の中で注目を受け、取り扱っている店舗数も年々増加しているので、このファスト・ファッションの各ブランドのロゴを頻繁にみかける機会も多いかと思います。今回は世界のファスト・ファッションのロゴデザインについて考察してみましょう。


    1)ZARA(ザラ)のロゴマーク

    ZARAのロゴデザインtesting / Shutterstock.com

    ZARAはスペイン発の世界的なファスト・ファッション・ブランドです。スペインでは、濁らず、「サラ」と発音します。1975年にスペインのカステーリャ・イ・レオン州レオン県ビジャマニン出身の実業家アマンシオ・オルテガ・ガオーナ(Amancio Ortega Gaonoa、1936−)と彼のビジネス・パートナーであった妻、ロザリア・メラ(Rosalia Mera、1944−2013)によって設立されました。

    北スペインのア・コルーニャ(A Coruña)に最初のショップを創業させたZARAは、今や90カ国近い国々で2000店舗以上を展開するグローバル・ブランドに成長しました。200人以上のデザイナーが1シーズンに3万以上のモデルをデザインしていることでも知られています。企画・デザインから製造・販売までを自社で担い、卸売業者を介さないことで、在庫管理の円滑化や消費者への素早い対応などを可能にしてきました

    ZARAの成功には、このハイエンドなデザインながら低価格、さらにマーケットのトレンドをスピーディーに反映して消費者のニーズを逃さない商品開発の仕組みにあります。

    ZARAは、シンボル(図柄)なしの文字のみで構成された『ロゴタイプ』のロゴを使用しています。繊細なイメージを与えるセリフ系のフォントで色は白地に黒色。非常にシンプルなデザインです。一般的に『ロゴタイプ』には、企業名をブランド化するという特徴があります。また同時に、企業名をしっかりと記憶して貰いたい場合にもこのロゴ・タイプはとても有効です。このシンプルなロゴを一見するだけで、『ZARA→ファッション・ブランド』と、ユーザーの脳にインプットされやすい効果をあげられるからです。

     

    ZARA HOMEのロゴデザインEmilio100 / Shutterstock.com

    余談になりますが、ZARAグループには、インテリアやファブリック・を取り扱う『ZARA HOME』があります。こちらのロゴも文字のみのロゴタイプですが、サンセリフ体のEngravers Gothic BTフォントで構成されています。


    2)Stradivarius(ストラディバリウス)のロゴマーク

    ストラディバリウスのロゴデザインTungCheung / Shutterstock.com

    Stradivariusは1994年に創業した、スペイン、バルセロナ出身のグローバル・ファッション・ブランドです。上記の世界的なファスト・ファッション・ブランド『ZARA』の姉妹ブランドでもあります。20—30代の女性を対象にした、コレクショントレンドを程よく取り入れたカジュアル・スタイリングを提案しています。

    日本には2014年4月に登場しました。世界の50以上の国に800店舗以上をもつこのStradivarius のストアでは、ZARAと同様、毎週新作アイテムが続々と投入されています。『Stradivarius』と聞くと有名なヴァイオリンと想像する方もいらっしゃるかもしれません。イタリアのクレモナ出身アントニオ・ストラディバリ(Antonio Stradivari、1644−1737)によって製作された弦楽器の代表的な名器であるストラディバリウスは、ヴァイオリニストや収集家の羨望の一品です。

    Stradivariusのロゴデザインは、この有名なヴァイオリンの名前から取ったということで、音楽のト音記号をモチーフに使用したロゴです。ZARAと同じで基本的には、モノトーンの構成ですが、このブランドのスタイルを彷彿させる柔らかいフェミニンなイメージを醸し出しています。


    3)H&M(エイチ・アンド・エム)のロゴマーク

    H&MのロゴデザインVenturelli Luca / Shutterstock.com

    1947年にスウェーデンの都市ヴェステロース(Västerås)にてH&Mは創業しました。当時は婦人服を専門としており、社名も『Hennes(へネス)』、これはスウェーデン語で、「彼女のもの」の意味を表します。

    1968年、ストックホルムの衣料品店『Mauritz Widforss』の買収に成功。この店の在庫に紳士服のストックがあったことから、これ以降紳士服も扱うことになり、店名も『Hennes & Mauritz(へネス・アンド・マウリッツ)』となります。

    その後、会社を大きく成長させスウェーデンのみならず海外にも店舗を展開。「H&M」の略称を正式なブランド名とし、現在に至ります。大半の製品を自社のデザイナーがデザインし、委託生産させる形態をとっています。

    現在のH&Mのロゴは、スウェーデンのセブン・イレブン(7Eleven)のデザイン・リニューアルやイケア(IKEA)のパッケージデザインなどを手がけるストックホルムのデザイン事務所BVDによって1999年に作られました。1968年より変わらず使われていたオリジナルなロゴを基本としながら、視覚的に調和を施す修正が行われ、読みやすさを最適化したロゴデザインが誕生しました。

    H&Mのショッパーmonticello / Shutterstock.com

    アクティブでインパクトの強い赤色のH&Mのロゴも、文字のみのロゴタイプ・スタイルです。上手くバランスをとり入れたイタリック体(欧文斜体)のこのロゴは、流行を敏感に取り入れ、洗練された都会的な印象のH&Mの商品とのイメージの一致に成功した例であると言えます。


    4)GAP(ギャップ)のロゴマーク

    GAPのロゴデザインGoran Bogicevic / Shutterstock.com

    GAPは、自社内で製品の企画、委託生産を通し、自社のチェーン店で販売というプロセスで営業展開を繰り広げているアメリカ最大の衣料品店です。

    1969年に、サンフランシスコ出身のドナルド・ジョージ・フィッシャー(Donald George Fisher、1928−2009)と彼の妻、ドリス・フィッシャー(Doris Fisher、1931−)によりGAPは設立しました。自分好みのジーンズがどこにいっても手に入らずに、自分が納得できるブルージーンズをレコードともども売ろうということでサンフランシスコに二人が立ち上げた始めの店舗作ります。この店は、レコードやテープと一緒にリーバイスのジーンズを販売するものだったそうです。

    ティーン世代をターゲットにした洋服を手がけることで急成長することになるGAPは、やがて134千人以上の従業員と3100店舗以上を擁するようになり、150億ドルという世界規模のビジネスへと変革させます。

    押しも押されもせぬ、ポップカルチャー・ファッション史で不動の地位を獲得しました。ちなみにGAPの名前の由来は、ドナルドとドリスが友人たちと「ジェネレーション・ギャップについて討論していたときに思いついた名前」だそうです。設立当時の店名は、『The Generation Gap』。のちに『GAP』となり、世界に広まっていきました。

    さて、GAPといえば紺色の正方形のロゴをイメージされる方も多いかと思います。GAPのロゴの歴史を見ると、創業から1986年までのロゴは白地に黒色で、『the gap』と表された小文字での構成でした。1986年に、Spire Regularフォントに変え、小文字から大文字に変化、紺色を背景とし文字は白抜きのシンプルで洗練されたロゴに変更されます。このロゴマークは世界中に浸透し、「GAPといえば紺色の四角形」という認識がユーザーの中に生まれることになりました。

    2010年には新しいロゴマークが発表されます。GAPの象徴であった紺色の正方形は小さくなり、フォントもHelveticaに変更、文字構成も『Gap』となり、歴代の二つのロゴを併せてできたようなロゴが提案されました。しかし、この新ロゴはユーザーから反感を買い、発表の一週間後にはもとの四角いボックスロゴに戻される、という遍歴を遂げるのです。

    人々に浸透したロゴマークが新しいものに変更される際にユーザーから否定的な声が挙がるのは、珍しいことではありません。しかし、その声を受けてわずか数日で以前のロゴマークに戻すというのは前代未聞の出来事でした。


    5)FOREVER21(フォーエバー・トゥエンティーワン)のロゴマーク

    Forever 21のロゴデザインMarch Marcho / Shutterstock.com

    FOREVER21はアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスに拠点を置くファスト・ファッション・ストア・チェーンです。1984年に韓国系アメリカ人のドン・チャン(Do Won Chang、1954−)と彼の妻Jin Sook Changにより設立されました。

    創立当時の名称は、『Fashion 21(ファッション・トゥエンティーワン)』で、ロサンゼルス郡内に住む韓国系移民の若者向けに作られたブランドでした。1989年には州内のショッピングモールに出店、1995年にはフロリダ州にチェーン店を出店し、初めてカリフォルニア州外に進出を果たします。2001年よりForever 21の大型店舗である『XXI Forever』を全米各地で出店、以降は国内のファッションストアも買収するなど、常に拡大を続けているファスト・ファッション・ブランドです。自社専属のデザイナーが企画するよりも、外注の取引先メーカーと手を組み、商品の開発や仕入れを展開させるビジネスモデルを基本としています。

    「ベスト・ファッションを最小プライスで提供する」というコンセプトを掲げるForever 21のロゴを見てみましょう。こちらも文字のみで構成されたシンプルなロゴ・タイプを使用。フォントはDIN 1451 Std Enegschiriftというサンセリフ系のフォントを修正したものを使っています。黒字や白抜き文字、また背景を白や黄色といったバリエーションが見られますが、上記のZARA、H&M、GAPなどと比べると、ロゴマークのインパクト感やユーザーへの浸透感に少々かける感じが否めません。


    6)American Apparel (アメリカン・アパレル)のロゴマーク

    アメリカンアパレルのロゴデザイン Tupungato / Shutterstock.com

    1989年、カナダ、モントリオールの出身、ダブ・チャーニー(Dov Charney、1969−)によって設立されたAmerican Apparel は、アメリカ合衆国ロサンゼルスを本拠とする衣料品メーカーです。

    他のファスト・ファッション・メーカーが主に委託デザイン、生産、販売等をしているのと異なり、この会社は、デザイン・製作・小売・卸売・広告・マーケティングと全てを自社の管轄の下で運営させてきたことも知られています。掲げるブランド・ポリシーは『Made in Downtown LA』。ロサンゼルスのダウンタウンにある建物内では、製造からカスタマーサービス、デザイン、写真撮影まですべてが行われてきました。

    このAmerican Apparel のロゴは、世界中で私たちを取り巻く文字情報で最も使われているフォント、サンセリフ体のHelvetica(ヘルベチカ)が使用されています。ヘルベチカは多くの企業ロゴに採用されているフォントです。

    これまで50年以上に渡って人気を得てきたこのフォントの一番の特徴は、無機質な形状で中立性を保ち、どんなデザインにもフィットしやすい書体であることでしょう。ヘルベチカ・フォントにモノトーンという非常にシンプルなこのAmerican Apparel のロゴは、このブランドのユニセックス的なスタイルにマッチしているロゴと言えます。


    7)UNIQLO(ユニクロ)のロゴマーク

    ユニクロのロゴデザイン August_0802 / Shutterstock.com

    さて、最後はジャパニーズ・ブランド、UNIQLOです。

    UNIQLOといえば、日本人で知らない人はいないのではないかと思えるほど、生活に浸透したブランドですね。本社を山口県山口市に持ち、1974年に設立。ユニセックスカジュアル衣料品店『ユニーク・クロージング・ウエアハウス(UNIQUE=独自の、CLOTHING=衣類、 WAREHOUSE=倉庫)として、1984年に広島県広島市に一号店を開店したのが始まりでした。

    「他では買うことのできない独自のカジュアルファッションをお客様が自由に選び購入できるブランド」という意味が込められた名称だったようです。『ユニクロ』の名称はこの店舗名の略称が元になっています。

    初代のロゴマークは、手を繋いだ男女のシルエットをモチーフとしたシンボル・マークや、ワインレッドをシンボルカラーとした、白抜き文字のロゴ・タイプを使用していました。

    2006年、グローバル展開のスタートとなった『SOHO NEW YORK』店のオープンに際して、二代目のロゴマークが誕生します。ベースカラーを従来のワインレッドから日本を代表する色でもある赤色へ、文字の書体や配列も洗練されたものに変更されたこのロゴマークは、今ではおなじみの鮮やかな赤と白のユニクロの『顔』となります。グラフィックデザイナーの佐藤可士和氏が手がけたことでも話題になりました。

    2種類のロゴタイプTungCheung / Shutterstock.com

    英文字とカタカナの2パターンがあり、どちらもゴシック体のオリジナル・フォントが使用されています。海外での日本語のロゴの使用は見かけられないのが通常ですが、このユニクロの正方形の中に綺麗に配置されたカタカナ・ロゴは、カタカナを文字としてではなくオブジェクトと視覚的に捉えられ、大変好評なロゴデザインです。


    まとめ

    有名なファスト・ファッションのロゴを見てきましたが、いかがでしたでしょうか。ファスト・ファッションのロゴは、シンボル(図柄)を入れず、企業名をシンプルに表したロゴが一般的に多いのにお気づきのことかと思います。

    ロゴから見えてくるブランドイメージ

    ブランドの目標は何と言っても売り上げをあげること、その効果の一役を担うのがロゴマークの存在です。一見しただけで、ブランド名やそれぞれのブランドのもつスタイルの特質を、ユーザーの頭の中に呼び起こさせることができるシンプルなロゴを、ファスト・ファッション業界は提案してきました。

    企業が求めるロゴデザインとはどんなものなのか、を改めて考えさせられるのがファスト・ファッションのロゴマークではないでしょうか。

     

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